9.中学校3年間の新聞配達

「ねている間に差をつけろ!」

これは、当時の受験生の心をわしづかみした「睡眠学習機」なるもののキャッチフレーズだ。
体験談を読んでみると、学年で1番になった、百人一首を一週間で覚えた等、凄まじい効果のオンパレード。
次に気になるのは、値段で、最後まで読んだが書いていない。

値段を知るには、「体験レポート」を取り寄せなければならないのだ。
雑誌の広告にあったハガキに住所氏名を書き郵便ポストへ・・・

数日後、待ちに待った「体験レポート」が到着した。

「俺も睡眠学習機を買って、成績をあげるぞ!」

封を切り、「体験レポート」にあった値段を見たら「29800円」と書いてある。

「た・高い。高すぎる!」

当時、親からもらったお年玉3千円で1年間を過ごしていた自分にとって、雲の上の値段だ。
どうしたら、「睡眠学習機」の資金を集めるか考えた末、新聞配達する事がひらめいた。

学校に行くと友達が「そういえば、あそこの兄ちゃん新聞配達やめるって言っていたな」という事で、新聞販売店に電話をしたら、OKをすんなりもらえた。

配達件数は、たったの17件。
しかし、一軒一軒の距離と、坂が多いため時間がかかった。

新聞配達の自転車は、小学5年の頃に買ってもらった6段変速の自転車。
荷台の横に折りたたみのカゴを取り付け、そこに新聞を入れて配達をした。

朝5時起きは辛かったが、数ヵ月働いたおかげでお金が貯まり、念願の「睡眠学習機」を買う寸前まで来た。
注文する前に、取り寄せた資料を、再び読んでみると、エンドレステープ(約10分間)に自分の声を吹きこまなければならないという説明がある。

「ちょっと待てよ、最初からエンドレステープを買えば安く済むことじゃないのか?」と冷静になったところで、急きょ買わない事に決まった。

「睡眠学習機」が欲しいという不純な動機で始めた新聞配達だったが、3年間続けたお陰で「規則正しい習慣」と「体力」を得ることができた。


「ねている間に差をつけろ」
これは相当売れたに違いない。


「一夜明けると・・・ザ☆ヒーロー!」
ヒーローになりたいがために、一生懸命新聞配達をした自分・・・


睡眠学習機とは別のドクターキャッポーなる機械。これも欲しかった。


受験生の心をくすぐるマンガ。


言うまでも無く、両方に〇を付けた。


8.日本の国土に興味を持たせてくれた本

高杉さんと、年末古書店で買った本に「霊界からの警告」というおどろおどろしいタイトルの本があった。

この本を買った理由は、霊界や予言に興味があったわけではなく、偶然に開いたページに「日本列島は世界の縮図である」という説が面白かったからである。

「なるほど北海道はアメリカに似ている。オーストラリアは四国。南アメリカは台湾に似ているというのは無理があるかな・・・」

この「霊界からの警告」という怪しい本のおかげで、丸森町周辺しか知らない私に、日本の国土に興味を持たせてくれた。


世界のひな型・日本


小学校で使用した地図帳
地図帳を見る事で、行った事のない土地に夢を膨らませてくれた。


上の2冊の他に、日本の国土に興味を持たせてくれた本達


冒険しない割には、こういった本が好きだった。

siro1.jpg
大名紋章城郭図 日本全国の城・紋章・石高が一目でわかる地図

RIMG1958.jpg
赤が譜代大名、青が外様大名と色分けしてある。



以上の本・地図が日本国土に興味を持たせてくれた。

7.旅人高杉さん

昭和61年の年末の事、瑞雲寺本堂横にある衆寮(お坊さんが勉強する所)で1週間ほど断食をさせて欲しいという人が来た。最初は、胡散臭い人かと思ったが父が言うには本気らしい。
格好は登山用のザックにギターを抱え、これぞ旅人といった感じの人だった。

小学生の私は、「この人、本当は何しに来たのだろうか?」と興味があったので直接聞きに行った。
衆寮の戸を開けると、その人はウォークマンのカセットに合わせてギターの練習をしている。

「練習中にごめんなさい。うちに何しに来たの?」
「断食だよ」
「断食って何?」
「食事を断つことだよ」
「食事を断ってどうするの?」
「自分を鍛えるためだよ」
「自分を鍛えてどうするの?」
「変わるためだよ」
「変わってどうするの?」

小学生にありがちな永遠に続く質問にも、笑顔で答えてくれる優しいお兄さんのような人だった。
名前は高杉さん。年齢は20代前半。

高杉さんの横を見ると、ブラックでカッコいいウォークマンが置いてある。
興味深そうに見ている自分に、高杉さんは大きなザックのポケットからヘッドフォンを取り出し、練習中の曲を聞かせてくれた。

その時、ヘッドフォンからピアノで始まる曲を聞いた時、鳥肌が立つくらい感動した。

曲名は、ビートルズの「LET IT BE」
意味は、「あるがままを受け入れなさい」

断食という体に変革を起こすような事をしながら、「LET IT BE」の「あるがままの自分でいいんだよ」という意味の曲を練習をすることは矛盾しているように見えたが、高杉さんにとってその事が大事であったのかもしれない。

高杉さんと仲良くなった後も、衆寮に遊びに行って、マンガの書き方、外国人の彼女の事、ギターの事などなど、たくさん話をしてくれた。

12月30日、高杉さんと一緒にバスで相馬の古書店と百尺観音様へ行った。
国道6号線沿いで、高杉さんが親指を立てて何かしている。

「何しているの?」
「金山まで車に乗せてもらえないかヒッチハイクしているんだよ」
「タダで?」
「うまく行けば、タダで帰れるよ」
「ホント?じゃ俺もやる!」

結局、誰も止まってくれなかったが、楽しい経験だった。

あっという間に一週間が過ぎ、高杉さんが帰る時が来た。

「もう、帰るの?ずっと家にいればいいのに・・」
「ありがとう!もっと居たかったけど、帰らなければならない。そうだ、キミに、プレゼントをしよう。拳を握って。息を吸って・・。吐くと同時に拳を繰り出す。これは少林寺拳法の突きだ。」

最初は胡散臭い人だと思ったが、最後はカッコいい旅人になっていた。
旅人というと、今でも高杉さんを思い出す。


帰る間際の写真


その後のハガキ


6.キン消しと角田

6段変速の新しい自転車を買ってもらった私は、金山・丸森だけでは飽き足らず、12キロ離れている角田市へ行こうと計画していた。

なぜ、角田市なのか?

その理由は、当時、週刊少年ジャンプで大人気だったキン肉マン。
そして、ゴムで出来たキン肉マン消しゴム、略してキン消しが学年を超えて大人気だった。
このキン消しは、丸森には無く、角田に行かないと手に入らなかった。

ある日、キン消しを手に入れるため角田に向けて出発。

人間は不思議なものでキン消しを手に入れるという、しっかりした目的があると、12キロという小学生にとっての長距離の移動は楽に感じるほどだった。

おもちゃ屋に到着し、ガチャガチャに100円を入れて、ハンドルを回す。
すると、カプセルに入ったキン消しが出てくる。
嫌な超人が出れば溜息をつき、カッコいい超人が出れば自然と笑顔になった。

カッコいい超人が当たった帰り道というのは、本当に楽しく、往復24キロの辛さは全く感じないほどだ。それは、新しい6段変速の自転車のお陰であったのかもしれない。


当時の角田



まさか残っているとは思わなかった、キン肉マンの本とキン消し



RIMG1955.jpg
本当に面白かったキン肉マン


キン肉マン


小学生の頃に作った四コマ漫画


題名:キン肉マンとフェニックス


5.新しい自転車が来た

「今乗っている自転車小さくなっただろ、このカタログから選びなさい」

父からの突然の言葉に、うれしさを感じずにはいられなかった。
数日間、自転車のカタログを見る生活が続いた。

「これがいい」

と父に希望を伝え、自転車が来るまで待ちに待った。

学校から帰ってくると、見慣れない自転車が置いてある。

「ち・違う・・・・」

必要最小限のシンプルでカッコいい自転車が欲しいと思っていた自分だが、希望に反して買ってもらったのは、ウインカー付のフラッシャー自転車だった。

周りの友達M山やS藤も、これと同じ自転車だったことを考えると、自転車屋で何台か仕入れた様子がうかがわれる。

他人と同じものが嫌いな性格の自分は、心の底からがっかりしたが、乗って見ると意外と乗りやすい。

「結構、いいじゃないか!」

今まで小さい自転車に乗っていたので、この大きな自転車のスピード、そして6段変速の威力に驚いた。

買った当時がっかりした自転車だったが、小学校5年生から乗り始め、中学校・高校と8年間お世話になった。
この自転車が無ければ、今の自分はなかっただろう。

楽しい思い出をありがとう。

今では物置にひっそりと置いてあるが、いくら錆びても捨てるつもりはない。



下書きをするほど、新しい自転車を待っていた!しかし到着したのは、違う自転車だった。


フラッシャーを取り外すなど、ささやかな抵抗が見てとれる。


6段変速


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