4.千葉先生の自転車

千葉先生は、自分が小学4年から6年までの3年間、担任をした先生である。
授業でわからない所があると、放課後に根気よく教えてくれるやさしい先生だ。

ある日、土手を歩いて学校へ登校していると、「おう!」と後ろから声をかける人がいる。
「怪しい人だったら逃げよう」と心の準備をしていたら、担任の千葉先生だった。

よく見ると、フレームが細くてカッコいい自転車に乗っている。
おそらく生徒に見てもらいたいのだろう。

「先生、自転車買ったの?」
「この自転車カッコいいだろ。値段は秘密だけど高かったなぁ」

自転車の色は銀色でタイヤが細くてスピードが出そうだ。
ハンドルは今まで見たことも無いドロップハンドルで余計なモノは一切付いていない。

今まで、機能満載が全てだと思っていた自分は、千葉先生のシンプルでカッコいい自転車を見て「将来こんな自転車に乗りたい」と憧れを抱いた瞬間だった。


イメージ


3.コロコロコミックと遠乗り

年齢が10歳になる頃にはマンガ雑誌の一冊や二冊読みたくなる年代で、自分のお気に入りは毎月15日に発売される「コロコロコミック」が心の友であった。

この「コロコロコミック」は当時人気があったマンガ雑誌であったにも関わらず、地元の商店では1冊だけしか置いていない。

15日の放課後、「絶対手に入れる!」と心に誓い、急いで家に帰る。
そして330円を握りしめ、〇〇商店入口にある雑誌の陳列棚の前「コロコロコミック」を探すことが月一の自分の行動だった。

地元に1冊しか置いていない「コロコロコミック」を手に取ると「ズシッ!」とくる本の重みと分厚さ、そしてドラえもんをはじめとした各主人公の華やかな表紙を見て、小学生ながら優越感にひたらせてくれるオーラがこのマンガ雑誌にはあった。

15日のある日、小銭を持って商店入口にある雑誌の陳列棚の前で一生懸命に探すが、どこにも無い。

「おばさん、コロコロコミックはどこにあるの?」
「もう、売れちゃったよ」
「えっ、売れちゃった?どいうこと?」
「近所の男の子が買っていったよ」

実は、自分の他にも読者がいたのだ。
それも当り前の話で、あれだけのページに当時の流行りであったファミコン・ラジコン・ビックリマンチョコのシールなどの情報、そしてドラえもんをはじめ面白いマンガがぎっしり詰まっていたのだ。

「俺もコロコロコミックが読みたい!」

何とかならないものかと考えた末、本屋のある丸森まで自転車で行って「コロコロコミック」を買う事に決めた。

翌日、お金をポケットに入れ、国鉄バスでしか行ったことのない約4〜5キロ先にある丸森の町へ向けてペダルをひたすら漕ぐ。

その当時、金山小学校では、自転車の遠乗りを禁止していた。
理由は、おそらく、他校との生徒とのケンカ、そして交通事故防止のためであろう。

「先生に見つかったらどうしよう・・・」

と思ったが「コロコロコミック」の魅力には勝てなかった。

ようやく、丸森の町中へ到着。
そして本屋で念願の「コロコロコミック」を手に入れた。

帰り道いつもバスでしか行ったことのない丸森の風景が違って見え、自分の足で遠くに行ったことに達成感を覚える忘れられない一日となった。


コロコロコミック創刊100号と、それを記念したまんが大全集


2冊合わせて1640ページ


創刊100号を記念した、コロコロコミック少年団のパスポート




まんが大全集より


2.蔵王山が教えてくれた事

小学生の頃、自宅から学校まで約600メートルの距離があった。
大人になった今と違って、小さい頃というのは、600メートルの距離でも、かなり遠いように感じていたものだ。

金栄橋を過ぎ、小学校近くまで来ると、小富士山・羽山の右側に蔵王が見えてくる。
特に、空気の澄んだ冬の蔵王山はとても綺麗だ。

「やっぱり、日本一の富士山だなぁ〜」

小学一年の頃、この綺麗な山、蔵王山の名前は知るはずもない。
本気で日本一の山、富士山だと思い込んでいたので、住んでいる所は、静岡か埼玉近辺だと信じていた。

家に帰って、自分はどこに住んでいるのか父親に聞いてみたら、宮城県だという。
宮城県ってどこだと思い、地図を見せてもらったら自分がイメージしていた場所と違って驚いた。

「な・なんだ、丸森って・・・・じゃあ、あの山は富士山じゃないの!」
「あの山は、蔵王山って言うんだ」
「えっ!」

その時は、ショックだった。
なぜなら、自分は日本一の山・富士山の近くに住んでいるものだと思っていたからである。

それ以来、私は、あの山は蔵王山で、住んでいる所は宮城県伊具郡丸森町と認識するようになった。

RIMG0796.jpg
富士山だと思っていた蔵王山

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1.ケガに対して異常な恐怖

私は小学1年の頃、自転車が大嫌いだった。
なぜなら、倒れてケガをすることに異常なほど恐怖を持っていたからだ。
いつも、のびのびと自転車に乗っている友達の姿を見て心の底からうらやましく思った事を今でも覚えている。

「みんなは当たり前のように乗れているのに、なぜ俺は乗れないのだろう・・・・」

今思うと笑ってしまうところだが、その当時、自転車に乗れないことが自分にとって深い悩みの一つだった。
放課後、友達数人と一緒に自転車で土手や山に遊びに行くわけだが、補助輪を付けての移動はダントツに自分が遅かった。

「これじゃいけない」と父に補助輪を外してもらったが、今度はバランスを崩して乗ることができない。
補助輪の無い自転車に乗ることが怖かった私は「自転車が壊れたから」と理由をつけて、しばらくの間、歩いて遊びに行っていた。

しかし、この状況が変わる時が来た!

それは夏の暑い夕方。私は庭先で自転車の練習をしていると、偶然にも1〜2秒ほど車輪の勢いで進む事があった。

「おっ、何だこの感覚、もしかして乗れるかな・・・」

ここで止めてしまうのはもったいないので、暗くなるまで練習。
最終的に足も着かずに約5・6メートルほど進む事が出来た。

「よーし、明日は道路に出てみよう」

交通量の少ない緩やかな坂で練習してみた。ちょっと怖かったが、坂の勢いを利用してみると、昨日よりも長く乗っていられることがわかる。

「1・2・3・4・5。今日は5秒も乗れたぞ!やった!」

と思ったのも束の間、ハンドル操作が甘くて田んぼに落ちてしまった。
幸いにも田んぼの泥がクッション代わりになって怪我はなかったが、少しでも乗れる事の方が数倍もうれしかった。

派手に田んぼに落ち、転ぶ事に抵抗が無くなったお陰で、自転車に乗れる時間が5秒から10秒、10秒から20秒と伸びていった。

これだけ乗れたらしめたもので、ぎこちないながらも、いつの間にかみんなと一緒に遊びに行けるようになっていた。

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自転車に乗れるよう練習した坂


お坊さんの自転車日本一周

「お坊さんの自転車日本一周」のブログへ来て頂き誠にありがとうございます。

 

このブログは、2001年から2002年にかけ全国曹洞宗専門僧堂25ヶ寺、2004年東日本縦断、2007年中部日本横断、2008年西日本横断、2009年北海道縦横断・東北縦断を自転車で旅をしてきた瑞雲寺副住職の記録です。

 

ブログで公開する理由

〇平成24年観音講の祭典で「日本一周で得た事」と題して、講話を行い意外と好評だった。

〇日本一周の記録を本あるいは小冊子にして配布するより、はるかに安価で、多くの檀家さんに知ってもらう事が出来るため。

 

また瑞雲寺ブログ丸森の巨石伝説サイトで一部、自転車の旅について触れた記事があり、「どのような旅だったのですか?」と私に声をかけて下さる檀信徒の方が意外と多く、短い時間で説明できないため、ブログ作成するに至った次第です。

仏教に「因果(いんが)」という言葉があります。
「原因があれば必ず結果があり、結果には必ず原因がある」という意味です。
「お坊さんの自転車日本一周」のブログを始めるにあたり、ある日突然、お寺から出発というのもおかしな話で、自転車との関わりを中心に、自分の年齢さかのぼり、なぜ日本の国土に興味を持つようになったのか、いつ日本一周を決意したのか、因果でいう原因から書き始める予定です。

ブログを公開するにあたり、自転車日本一周中に記録した「表の日記」と「裏の日記」を参考にしています。

「表の日記」とは、家族向けに、「今どこにいて、こんな事をしてきた」などのハガキ日記
「裏の日記」とは、その日の、楽しかった事、嫌な事など、自分の感情を中心とした日記

表裏一体、陰陽調和して一(いち)と成す。

「表」と「裏」を合わせて「一(いち)」に集約したのが「お坊さんの自転車日本一周」ブログとなるわけです。

最後に、読みにくい所、わかりずらい所はあると思いますが、皆様の寛大な心で読んで頂ければと思います。

金龍山瑞雲寺副住職  明秀 九拝



表の日記帳




「表の日記」 家族向けに出したハガキが360枚保存してあります。


日記の他、絵、地図、1日の走行距離、積算距離を記録



裏の日記帳




「裏の日記」 一日走って、楽しかった事、嫌だった事等、自分の感情を中心とした日記。


自分の感情の他に、一日に使ったお金等、ダークな部分を記録しています。



二つ合わせて・・





「表の日記」と「裏の日記」を合わせて「お坊さんの自転車日本一周」となります。

 



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